定価:本体1,600 円+ 税
四六判 上製 280ページ
ISBN978-4-8083-1006-6
2015 年11月25 日発売 東京新聞 刊
本書の内容
1936年のベルリン大会でオリンピックに初参加したサッカー日本代表は、優勝候補のスウェ
ーデンを破り、ヨーロッパ中を驚かせた。「ベルリンの奇跡」と呼ばれる伝説の戦いだ。だが、四年
後に予定されていた東京五輪は第二次世界大戦のため中止となり、代表選手四人も戦禍に巻き込ま
れ死亡した。人材を失った日本サッカー界は戦後、長く低迷を続けることになる。
チームの主将・竹内悌三氏もシベリアに抑留され、再び日本の土を踏むことはなかった。その娘
で、東京タワーのライトアップなどで知られる著名な照明デザイナーの石井幹子氏は、2011年、
父も訪れたベルリン・ブランデンブルグ門を日独交流150周年記念イベントとして光の映像で包
んだ。テーマは「平和」。偶然で片づけられない運命の糸で結ばれていた父娘も、もう一つの奇跡だ。
本書は「ベルリンの奇跡」に至るまでの道のりや時代背景、選手の特性、周到な戦術、貴重な証言、
試合経過などの事実を積み上げ、奇跡ではなく、勝つべくして勝ったのだと記す。さらに竹内悌三と
娘の時を超えた邂逅を描くことで、平和であってこそのサッカー、スポーツ、そしてオリンピックな
のだと訴える。
監修は日本人で初めて国際サッカー連盟会長賞を受賞したサッカージャーナリスト・賀川浩氏。
【著者紹介】竹之内響介(たけのうち・こうすけ)
1959年、東京都に生まれる。日本大学を卒業後、CM制作会社を経て94 年よりフリーのCMディレ
クター。仕事のかたわらシナリオセンターでドラマを学び、城戸賞、日本放送協会創作ラジオドラマ大賞
のファイナリスト。小津安二郎記念短編映画祭、ショートショートフィルムフェスティバル入選。小説に、
『見上げてごらん夜の星を』『生前父は』など。ノンフィクションに『神様のなみだ』。
【監修者紹介】賀川浩(かがわ・ひろし)
1924年、神戸市に生まれる。神戸一中、神戸経済大(現・神戸大)、大阪クラブな どでサッカー選手。
全国大会優勝、東西対抗出場、天皇杯準優勝などの経験をもつ。52年からスポーツ記者、75年から10
年間のサンケイスポーツ編集局長(大阪)などを経て現在フリーランスとして、現役最年長記者。
2010年日本サッカー殿堂入り、14年に神戸賀川サッカー文庫を開設し、15年にはFIFA会長賞
を受賞。著者として『90 歳の昔話ではない。古今東西サッカークロニクル』(東邦出版)など多数。